皆さんこんにちは。レスター）AI推進チームです!
株式会社レスターでは、「安心・安全なAI活用」を掲げ、社内でのAI活用を積極的に推進しております。
この度、皆様の業務におけるAI活用を一層促進するため、これまでに培った実践ノウハウや知見を技術ブログとして発信することになりました。本ブログが、皆様のAI活用の一助となれば幸いです。
記念すべき初回は、弊社のデバイス事業と関連性の高い製造業の製品開発部門（研究開発・設計など）の皆様を対象にお届けいたします。
製品開発部門の皆様は、「新しい技術で世の中を驚かせたい」「革新的な製品を創造したい」といった強い想いを胸に、日々業務に邁進されていることと存じます。イノベーションを創出する上で最も重要な要素の一つは「情報」であると認識しておりますが、一方で、その膨大な情報をいかに効率的に収集し、製品開発に活かすかという課題に直面されている方も少なくないのではないでしょうか。
本稿では、多くの製品開発部門が抱える共通の課題である「情報収集に要する時間の増大」について考察いたします。
❚「情報」はイノベーションの種。でも、有効に活用できてますか？
新たな製品アイデアや技術革新は、質の高い情報への迅速なアクセスから生まれます。
「この設計データは有用だ」「過去の研究データにヒントがあるかもしれない」といった気づきを得た際、必要な情報へ即座にアクセスし、必要な部分のみを参照できれば、製品開発はより円滑に進み、大きな成果へと繋がりやすいでしょう。
しかしながら、現状はどうでしょうか？
「あの設計データはどこに」「この調査データは誰が保有しているのか」「あの製品の寸法は何mmだったか」といったように、必要な情報がすぐに見つからない状況に直面していないでしょうか。
❚「情報収集」にどのくらい時間を使っていますか？
新しい製品開発の着手時、関連文献や既存ドキュメントの調査にどの程度の時間を費やしていますでしょうか。
- 最新の論文や業界ニュース
- 競合の特許情報
- 社内にある過去の実験データや報告書
- 過去の設計データ、技術標準、規格書
- 新しい素材のデータ
「複数のデータベース」「散在するフォルダ」そして「同僚や先輩への問い合わせ」といった情報探索プロセスに、気づけばかなりの時間を費やしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、ある調査によれば、業種や部門を問わず、業務時間の約2割が情報収集に充てられていると報告されています。これは単純計算で週に1日に相当します。
新製品開発のように、常に新しいアイデアや技術革新が求められる業務において、この情報探索にかかる時間は、機会損失に繋がりかねません。
❚「時間がない」だけじゃない、情報収集の非効率性が引き起こす負の連鎖
情報収集に要する時間の増大は、個人の残業増加や疲弊に留まらず、企業全体に深刻な影響を及ぼします。
- 開発スピードの遅延：情報収集の長期化は製品開発プロセスの遅延に直結し、結果として市場投入の機会損失を招きます。
- 非効率な重複業務の発生：過去に社内で解決済みの課題や既存技術に関する情報を、再度一から調査するといった無駄が生じます。
- 創造性の阻害：情報の不足や偏りは、新たなアイデアの創出を妨げ、製品の品質や競争力に影響を与えかねません。
- 担当者のモチベーション低下：情報探索に多くの時間を費やす状況が続くと、製品開発担当者のモチベーション低下に繋がり、生産性にも悪影響を及ぼします。
- ナレッジの属人化：情報が適切に集約・共有されないことにより、貴重な知識や技術が個人のみに留まり、組織全体の資産として活用されません。
❚ まずは現状をチェックしてみませんか?
この「情報収集の非効率」という問題は、日常業務の中に埋没し、その本質的な影響が見過ごされがちです。
しかし、この課題を認識し、改善に向けた一歩を踏み出すことが極めて重要です。
- 同僚と情報収集に費やす時間について意見を交わす。
- 部下と、社内で検索しにくい情報の種類について話し合う。
- 最近の製品開発プロジェクトにおいて、「もしあの情報があれば」と感じた点についてチームで意見を出し合う。
このように、「情報収集に時間を要している」という共通認識を持つことが、改善への第一歩となります。
❚ まとめと、次回のお楽しみ
情報が飛躍的に増加する現代において、製品開発部門がその能力を最大限に発揮するためには、必要な情報へ迅速にアクセスできる環境が不可欠です。しかし、多くの現場では、情報収集に要する手間が貴重な時間とビジネスチャンスを奪っているのが現状です。
この「情報収集の非効率性」という課題に対し、次回は『最新RAG技術による専門文献・社内データの高度活用』に迫ります。
ぜひご期待ください。
❚ 参考文献（参考リンク）
❚更新履歴
- 2025/06/20